アルギニンとは、1886年に「ルピナス」という豆の芽から発見されたアミノ酸の一種です。
ドイツで発見されたアルギニンは、その硝酸塩が「銀(argent)」のように白かったことから「アルギニン(arginine)」と名付けられました。
アルギニンは主にタンパク質の構成成分として存在しています。
食品の中では特に魚の白子「クルペイン(ニシン)、サルミン(サケ)」などに多く含まれており、これらを構成するアミノ酸の約70%がアルギニンだと言われています。
アルギニンは、体内で合成することができる「非必須アミノ酸」ですが、生成力が十分にないことから、「準必須アミノ酸」とも呼ばれています。特にちいさな子供はアルギニンを作り出す力が弱く、成長期などにはしっかり摂取する必要があります。
また、大人でも強いストレスなどを受けた時は、合成量が追い付かず、欠乏しやすいと言われています。
アルギニンが不足すると、成長を阻害されるだけでなく、動脈硬化などの生活習慣病の危険性が高まります。また、アルギニンは本来、成長ホルモンの分泌にともない、自身の体で生成されますが、 年齢の増加と共に減少してしまうことがわかっています。
アルギニンの不足によって、成長ホルモンの分泌が減ることは、「ターンオーバーの乱れ」や、「内臓機能低下」、「肥満」などの身体への悪影響も考えられています。
アルギニンの効果・効能
様々な効果を発揮するアルギニンは、老若男女問わず、健康に欠かすことのできない栄養素の一つです。
アルギニンのもたらす効果のひとつに、成長ホルモンの分泌を促す働きがあげられます。
成長ホルモンは、成長の盛んな幼少期に必要であることはもちろん、大人でも「筋肉量の維持」や「老化防止」に重要な役割を担っています。
さらに、成長ホルモンは脂肪の燃焼にも関わっているため、アルギニンの摂取に合わせて有酸素運動を行なうことで、「肥満の予防」や「ダイエット効果」が期待できます。
アルギニンのもたらす効果・効能は以下の通りです。
- 免疫力向上
- 美肌効果
- 疲労回復
- ED(勃起不全)改善
- 生活習慣病予防
免疫力向上
アルギニンは、免疫細胞である「マクロファージ」を活性化させる働きを持っています。
マクロファージは、体に侵入してきた細菌やウイルスを消化する作用があるので、活性化することは
感染症の予防や、免疫力の向上効果につながります。
実際にアルギニンは、手術後の感染症の発症を防止し、回復力を高めることから、
病院で使う輸液の主成分として使用されています。
美肌効果
アルギニンには、肌の角質層を保湿し、お肌に潤いを与える効果があります。
角質層は、肌の一番外側の部分にあたり、外部の刺激から肌を守る重要な役割をしています。
角質層の水分は、NMF(天然保湿成分)によって潤いが保たれ、そのNMFを生成する約40%は、アルギニンを含むアミノ酸が占めていることがわかっています。
実際に、アルギニン入りの乳液や保湿クリームなども販売されています。アルギニンによって保湿力が高まることで、肌荒れや小じわを防ぎ、潤いのあるお肌を保つ効果が期待できます。
また、アルギニンはコラーゲンの前駆体である「ハイドロキシプロリン」という物質の合成にも関わっていることから、コラーゲンの生成促進に役立ちます。
それにより、シワやたるみといった肌トラブルを予防する効果もあると考えられています。
疲労回復
アルギニンは尿素回路に作用し、疲労の原因物質である「アンモニア」を解毒する働きがあります。
これにより、疲労回復をサポートする効果が期待されています。
脳疲労は、細胞呼吸や消化など代謝活動によって発生するアンモニアが原因です。
アンモニアは強い毒性があり、大量に発生して尿素回路で処理しきれない場合、血中に取り込まれて全身をめぐり、脳の中枢神経を刺激します。脳内のアンモニアが増えると、中枢神経はアンモニアの発生を抑えるため、手や足などの末梢神経に活動を抑えるように作用します。その結果、体がだるく感じたり、集中力低下を招いてしまうのです。
アルギニンは、尿素回路の働きを高めて、アンモニアを尿素に変え、体外に排出する作用を早めることにより、疲労回復の効果を発揮します。
また、運動による血中アンモニア濃度の上昇が、アルギニンとグルタミン酸を経口摂取することで抑制できるということが実験から明らかとなり、アルギニンは運動時の疲労感を抑制する効果があると考えられています。
ED(勃起不全)改善
勃起不全(ED)は、男性器の血流の悪さが原因のひとつとして考えられています。
アルギニンには、体内の血管を拡張する「一酸化窒素」の分泌を促す働きがあり、男性器の血流をスムーズにすることができます。これにより、勃起不全を改善する効果が期待されています。
また、精子の80%はアルギニンから構成されています。アルギニンの量は、精子の質や量にも影響することがわかっており、不足すると「勃起が起こりづらくなる」「精液の量が減る」といった男性機能の低下が見られるようです。
実際に海外の研究では、勃起不全患者に3カ月間、アルギニン(その他:ナイアシン、カルニチン)を配合したサプリメントを摂取させたところ、40%の勃起不全を改善したという報告があります。
生活習慣病予防
アルギニンを摂取することで、高血圧が改善され、心疾患や末梢動脈疾患のリスクが低減することが報告されています。よって、アルギニンは様々な生活習慣病の予防にも効果が期待されています。
生活習慣病からくる「悪性新生物」「心疾患」「脳血管疾患」といった病気を引き起こさない為には、血管が固くなる「動脈硬化」を防ぐことが大切です。偏食、運動不足、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣によって血液がドロドロになると、血の巡りがわるくなり、様々な病気の原因となってしまいます。
アルギニンの服用は、一酸化窒素の生成を増加し、また遊離脂肪酸(中性脂肪が分解され、血液中に放出されたもの)を低下させ、脂肪にたまった毒素を減少させることができます。高血圧を防ぎ、血液の流れがスムーズになることで、動脈硬化を改善する効果があると考えられています。※1
実際に、動脈硬化のリスクが高い人にアルギニンを摂取させた試験の結果、動脈硬化の程度を示す値の改善が認められました。このことから、アルギニンの摂取が、動脈硬化を原因とする病気に有効であると考えられています。※2
参考文献
- ※1アルギニンの経口投与によるヒト血管内皮機能の改善効果に関する研究/西南女学院大学紀要 Vol.14,2010
- ※2Increase in fasting vascular endothelial function after short-term oral L-arginine is effective when baseline flow-mediated dilation is low: a meta-analysis of randomized controlled trials.
アルギニンの副作用
アルギニンは、過剰に摂取してしまうことで、副作用が起きることがわかっています。
天然のアミノ酸なので、通常の食事から摂取する量では、体への悪影響は少ないでしょう。
ですが、タンパク質の摂りすぎには気をつける必要があります。たんぱく質を過剰に摂取してしまうことは、カロリーオーバーになるだけでなく、胃腸や腎臓に負担がかかり、腹痛や下痢といった症状の原因になります。そのため、食品から摂取する際には、全体のバランスがとれた食事を心がけるようにしましょう。
また、サプリメントでの過剰摂取や、薬との相互作用でも副作用が起きることがわかっています。
副作用には、以下のようなものが考えられています。
- 腹痛、下痢
- 頭痛
- 唇ヘルペスの悪化
- 巨人症
腹痛・下痢
アルギニンは強アルカリの性質を持っているため、過剰に摂取すると胃腸に大きな負担が掛かり、腹痛や、下痢などの症状を引き起こすことがわかっています。
体重や体質によって、どの程度摂取した場合にこの副作用が引き起こされるかは個人差がありますが、商品の目安量を確認し、過剰摂取にならないように意識しましょう。
頭痛
アルギニンは、血液の循環が正常な方が多く摂取すると、頭痛を招く可能性があります。
血管が過剰に拡張してしまい、脳の神経を圧迫してしまうためです。
血管が収縮することによっておこる頭痛の場合は、アルギニンが血管を拡張することで改善されますが、多く摂りすぎるとそれが逆効果になることもあります。
唇ヘルペスの悪化
アルギニンは唇ヘルペスの症状を悪化させる成分として知られています。唇ヘルペスのウイルスは、増殖の際にアルギニンを必要とするためです。ヘルペスができている方は、アルギニンの摂取を控えることをおすすめします。
巨人症
アルギニンの成長ホルモンの分泌を促す働きは、過剰に摂取してしまうことで、「巨人症」といった病気のリスクを高めます。「巨人症」とは、小さい頃にアルギニンを大量に摂取してしまうことで、成長ホルモンが異常に作られてしまい、極端な成長を招くという病気です。
小さい子供はできるだけサプリメントを利用せず、食事から摂取することをおすすめします。
過剰摂取にならない摂取目安量とは
アルギニンを含むアミノ酸は、タンパク質に分類される為、細かな摂取量が決められていません。
摂取する目的や、個人の活動量によって自分で考えていく必要があります。
目安として、成人が健康維持の為の摂取する量は「2000~4000mg/日」が理想的だと考えられています。1日に20ℊを超えるような過剰摂取は、人によっては副作用が出ることもあるようです。
サプリメントで摂取する際には、パッケージの用法・用量を守って適量を摂取することを心がけましょう。また、クエン酸のような酸性の成分が一緒に含まれているものがおすすめです。アルギニンはアルカリ性が強いので、酸性の成分が入っていることで中和され、副作用が起きるリスクを回避することができます。