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カプサイシン capsaicin

化学式C18H27NO3

カプサイシンとは唐辛子に含まれる辛み成分のことをいいます。
1846年、イギリスの研究者スレシュが、唐辛子の種子やめしべに含まれる辛味成分の結晶化に成功し、唐辛子の学名「Capsicum annuum(カプサイシウム アニューム)」を由来として名付けられました。
熱に強いことから、調理の際に加熱してもその辛み成分に変化はみられませんが、油やアルコール、酢には溶けやすく、漬け込むと辛み成分が溶けてしまうことがわかっています。

また、唐辛子には「スコヴィル値」という辛さを計る単位が存在し、この単位はカプサイシンの割合を表しています。純粋なカプサイシンのスコヴィル値は1600万ほどであり、高ければ高いほど辛く、過剰に摂取した場合、死に至る危険もあると言われています。なお、唐辛子によってこのスコヴィル値に幅があり、育てられた土壌や気候、遺伝子の違いによって、含まれるカプサイシンの量が変動すると考えられています。

古くから、唐辛子には食欲増進、疲労回復といった効果があることが知られており、食べると体があたたまり、発汗が促進されます。そのため、暑さが厳しいインドやメキシコなどでは、その発汗作用を利用して体温を下げる食文化があります。

カプサイシンの効果・効能

唐辛子を食べた時、口の中に熱さを感じますが、これは辛み成分が舌や喉の粘膜を刺激して、やけどと同じような反応を引き起こすためだと言われています。辛さは甘みや旨みといった味覚とは違い、熱や痛さとして脳に伝わっているのです。
そんなカプサイシンは、美容や健康面で様々な効果をもっています。

現在、あきらかになっている効果・効能は以下のとおりです。

  • 肥満防止
  • むくみ・冷え性改善
  • 疲労回復
  • 便秘改善

肥満防止

カプサイシンには、アドレナリンの分泌を促し、脂肪燃焼を助ける働きがあります。
脂肪燃焼率が高まることで脂肪の蓄積を抑制するので、ダイエットや肥満防止にも効果があると考えられています。

2000年の日本栄養・食糧学会誌による研究では、肥満ラットに摂取させたところ、エネルギー代謝が促進され、体重が減少したことが報告されています。

私たちは運動をすると、初めに糖分と脂肪酸がエネルギーとして消費され、そのあとに脂肪が消費されます。有酸素運動を続ける目安が20分と言われているのは、ある程度の時間続けなければ脂肪の燃焼まで行き届かないからなのです。
カプサイシンの摂取により、アドレナリンの分泌が促進されると、脂肪分解酵素「リパーゼ」が活性化されることがわかっています。それにより、早い段階から脂肪が燃焼されるので、体脂肪の蓄積を防ぐことができるのです。

よって、ダイエットに運動を取り入れている方は、有酸素運動の前に摂取することがより効果を高めるでしょう。

また、普段運動をしない方が、体重維持の為に摂取するのもおすすめです。
胃液の分泌を促進し、消化を助ける働きもあることから、体内の老廃物の排出がスムーズにできるようになります。それにより、太りにくい体を作ることができると考えられているのです。

むくみ・冷え性改善


カプサイシンにはエネルギー代謝を活発にさせ、身体の体温を上げる効果があるため、冷え性の改善にもつながります。

冷え性の原因は血行不良によって毛細血管に十分に血液が行き届かなくなることで起こります。
血液は栄養や酸素と一緒に、体内で作られた熱を運ぶ役割があるので、血行が悪くなると冷え性を引き起こすのです。そこで、カプサイシンによって身体全体に熱を行き渡らせることで、血行が改善し、冷え性を改善する効果が期待されています。

また、体内に余分な水分が溜まることでむくみが起きることがありますが、体を温める作用により、体内から余分な水分がなくなれば、冷え性と同様にむくみの改善にもつながると考えられています。

疲労回復

カプサイシンの血流を改善する働きは疲労回復にも効果的です。

血液は体の細胞に栄養や水分を行き届けるだけでなく、細胞で不要になった老廃物を運んで排出させる働きもあります。血液の流れが良くなることで、不要になったものを体外に排出して、新しい栄養素を取り入れるサイクルができると、疲労回復効果を高めることにつながります。
また、血行が良くなれば筋肉の凝りの解消にもつながるため、肩こりや腰痛の改善にも効果が期待できるでしょう。

そのほかにも、胃の働きが鈍っていると、食べ物の消化にエネルギーを使うため、疲れやすい体になってしまいますが、カプサイシンには胃を刺激して丈夫にする働きがあります。
胃を活発に働かせることで、効率的に食べ物を消化することができるので、疲れにくい体作りにも効果的だと考えられています。

便秘改善

カプサイシンには、腸を刺激してぜん動運動(消化した食べ物を腸の中で移動させたり、便を排出させる動き)を活発化することで、便秘を改善する効果もあります。

便秘は腸の動きが鈍って便が溜まることで、便に含まれていた水分が徐々に腸壁に吸収され、便が固くなって出づらくなっていることが原因のひとつです。
ぜん動運動が活発になると、腸管にとどまっていた便はスムーズに排便されやすくなります。

また、消化を良くする働きや、血液の流れをスムーズにする効果もあるので、腸の血流がスムーズになることで、腸内環境を整えることができます。これにより、便秘改善にも効果的な成分だと考えられているのです。

カプサイシンの副作用

適量であれば体の機能を活発にし、美容と健康に嬉しい効果が見られるカプサイシンですが、
その反面、過剰摂取によって身体機能に悪影響をもたらすこともあります。

特に、唐辛子を過剰に摂り続けると胃壁に強い刺激が与え続けられ、胃腸が荒れてしまうことがあるため、胃腸が弱い方は過剰摂取に注意しましょう。
また、授乳中の方が摂取する場合、乳児が皮膚炎を起こす危険性もあるため、事前の知識が必要です。

過剰摂取した場合の副作用には、以下のようなものが考えられています。

下痢

便秘を改善することで知られているカプサイシンですが、過剰に摂取すると、腸に強い刺激を与えてしまう為、下痢になると言われています。

通常であれば、便は腸壁に水分を吸収されることで、適切な硬さに調整して排出されます。
ですが、強い刺激を受け、ぜん動運動が活発になりすぎると、その調節がされないまま便が肛門に移動するため、水分を含んだ便となり、下痢になってしまうのです。
便秘改善の為に摂取する方は、過剰に摂ってしまい逆効果にならないよう、気を付ける必要があります。

味覚障害

カプサイシンを含む料理を食べると、舌に刺激が伝わり、その刺激が強すぎた場合、舌の味覚機能が大幅に低下してしまうことがあります。また、極端に辛い料理を食べ続けていると、舌にある味を感じる「味蕾(みらい)」という器官が麻痺してしまい、味覚障害になる可能性もあると考えられています。

唐辛子を含む料理を食べた時に、舌から脳へ「刺激物が体に入った」という情報が伝わると、脳は体を守るために「エンドルフィン」という物質を出し、刺激から体を守ろうとします。そのエンドルフィンが働いている間は味を感じにくくなるということがわかっています。
適量であれば害はありませんが、唐辛子を大量に食べると少なからず体にダメージがあることを意識しましょう。

発がん性

カプサイシンを過剰に摂取してしまうと、癌のような病気になるリスクを高めると言われています。

通常であれば人間の体内には「ナチュラルキラー細胞」という細胞が存在しており、これが細胞を壊死(えし)させることでがんを防いでいます。ですが、摂取しすぎるとナチュラルキラー細胞の数が減少してしまうことがわかっているのです。
過剰摂取を継続して行っていると、キラー細胞の動きが鈍くなってしまい、がん細胞の増殖を抑えることができなくなる危険性も高くなります。

農林水産省によると、過剰摂取した場合、「異食道逆流症」「流涙症」「鼻液漏」「排尿障害」といった病気にかかるリスクが高まると言われています。また、子どもや感受性の強い人では、粘膜炎症や吐き気、嘔吐、高血圧などの症状が報告されています。

精神疾患

カプサイシンにはアドレナリンの分泌を活発化させる作用がありますが、アドレナリンが過剰に分泌されると、やがて感情や自律神経に関係する「大脳辺縁体」や、記憶を管理している「海馬」が損傷を受けて、うつやパニック障害、睡眠障害のリスクが高まると言われています。

特に、唐辛子の摂取量が多い韓国では、「火病」という精神疾患が深刻な問題になっています。
また、ヨーロッパではその毒性を問題視している国もあり、少量の摂取では問題ありませんが、日常的に大量に摂取することはやはり避けた方がいいでしょう。

カプサイシンの摂取目安量とは

1日あたりの摂取目安量は「6mg」が目安とされています。
一般的な乾燥した唐辛子は1本あたりの重さが0.5gで、1gあたり3mgほどのカプサイシン含まれていますので、参考にしてみてください。

副作用を起こさない為の摂取上限量とは

一方、1日あたりの摂取上限量は「70~75mg」とされていて、これを超えると身体に悪影響が現れる可能性があります。この量は、唐辛子およそ100本分であり、210g程度になります。
また、サプリであっても過剰に摂取すると副作用が発生する危険性がありますので、必ず各メーカーに書かれてある用量を守ることが大切です。

致死量は体重1kgあたり60~75㎎

カプサイシンには致死量があり、過剰に摂取しすぎると、死に至る可能性があります。
体重1キロ当たり「60~75mg」をとらないように注意する必要があり、一例をあげると、体重60㎏の人が3600㎎摂取してしまうと命の危険があるのです。

ですが、唐辛子1gに対し、カプサイシンは約3㎎程度しか含まれていません。
最低でも1㎏の唐辛子を食べなければ致死量には至らないので、普通の食事をする方にとっては過剰に気にする必要はないでしょう。

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