イチョウ葉エキスとは、世界で最も古い木のひとつであるイチョウの葉を乾燥させ、アルコール抽出したものをいいます。主に脳への血流を改善し、記憶力の向上や認知症の予防に役立つと言われています。
イチョウ葉はおよそ2億年前から存在し、原産国の中国では漢方薬として約5000年前から用いられてきました。イチョウの葉自体も植物として非常に特殊であり、気管支炎や喘息、耳鳴りの改善に用いられることがあります。
1960年代にドイツの研究で血液の循環を改善する効果があることが発表され、1970年代には医薬品として認可されました。しかし、日本では2018年現在、未だに医薬品としては認められておらず、健康食品として販売されています。抽出物はサプリメントとして摂取することができ、乾燥させた葉はお茶として飲まれることもあります。
イチョウ葉エキスに含まれる主な成分には、30種類ほどの「フラボノイド(ポリフェノールの一種)」、そして強力な抗酸化作用を持つ「ギンコライド」などがあります。
特にギンコライトはアルツハイマーや認知症の予防に効果があることが明らかになっており、イチョウ特有の貴重な成分として知られています。
イチョウ葉エキスの効果・効能
イチョウ葉エキスは、血流を改善し、脳内に血流を多く届けることによって、神経細胞が死滅するのを防止します。
これにより、脳疾患の予防や、記憶力を向上させるのに効果が期待されています。
また、イチョウ葉エキスには「血管拡張作用」「抗酸化作用」「血小板凝集抑制作用」があり、
この3つの効果が作用し、身体に様々な健康効果を与えると考えられています。
効果効能には以下のようなものがあげられます。
冷え性改善 、PMS(月経前症候群)の改善
イチョウ葉エキスに含まれる香り成分「ギンコライド」には女性ホルモンの分泌を促し、血流の流れを良くする効果があると言われています。よって、血流が悪いことによって引き起こる冷え症の改善にも役立つと考えられています。
また、冷え性の根本的な原因のひとつに、女性ホルモンの乱れがあげられます。女性ホルモンの分泌が減ることで、自律神経に影響し、血液をドロドロにすると考えられているからです。
実際に、女性ホルモンのバランスが乱れやすい更年期の方や、妊娠している方は、冷え性の方が多くみられるようです。
また、「ギンコライド」には生理前症候群(PMS)の改善効果の報告があり、さらに女性ホルモンの分泌を促進する効果も期待できます。
また、イチョウ葉エキスに含まれる「テルペンラクトン」と「フラボノイド」が多方面に作用し、女性ホルモンの分泌をさらに促進すると考えられています。
このふたつには「血小板の凝集を抑えて、血液の流れをよくする」作用が共通してあることがわかっています。そして、テルペンラクトンには「血管を拡張し、血液を流れやすくする作用」、フラボノイドには「悪玉コレステロールの酸化を抑制し、血液をサラサラにする」作用があります。摂取することで、これら3つが作用して血流を改善すると言われているのです。
月経前症候群のうっ血性症状に対する効果について、165名の妊娠可能期間中の女性を対象に行ったプラセボ対照試験では、イチョウ葉エキス投与群は、プラセボ群より、月経前症候群によるうっ血症状や神経心理学的症状の改善がみられました。※1
認知症の改善
イチョウ葉エキスには、抗酸化作用により脳細胞の老化を防ぎ、血液を固まりにくくする作用があります。脳への血流増加、神経伝達物質の働きを整え、神経伝達を良くすることが、認知症の改善に役立つと考えられています。
認知症には大きく分けて、「アルツハイマー型認知症」と「脳血管障害」による認知症があります。
アルツハイマー型認知症は、脳に「アミロイドβ」という特殊なタンパクが蓄積することにより、神経細胞が減少し、認知機能が低下してしまうと考えられています。
また、脳血管障害による認知症は、脳の血管が詰まる「脳梗塞」や脳の血管から出血する「脳出血」などにより、血液の循環が途絶え、認知機能障害が起こります。
410名の外来認知症患者(アルツハイマー型または、脳血管障害による認知症〕)に対して、イチョウ葉エキス「240mg(日)」を24週間摂取させたところ、プラセボ群に比べ有意に神経精神症状が改善したことが確認されました。※2
このように、イチョウ葉エキスは、「アルツハイマー型認知症」と「脳血管障害」による認知症を改善する効果が期待されています。
記憶力の向上
ドイツで行われた臨床試験では、イチョウ葉エキスには記憶力を向上・維持する働きがあることがわかっています。
脳には、「シナプス」という情報伝達物質があります。シナプスは、加齢とともにその働きが衰え、その結果として物忘れが多くなります。
血流を改善させる効果とともに、シナプスを活性化させる作用により記憶力を向上させます。
また、脳の循環を改善する作用や、血流の減少による記憶障害を防ぐ効果も明らかになっています。
ただし、症状のない人に投与した場合、記憶力や認知力が改善するかは明らかになっておらず、今後更なる研究が必要だと言われています。
参考文献
※1(Revue francaise de gynecologie et d’obstetrique 1993 Jul-Sep:88(7-9):447-57)
※2(Jounal of psychistric research 2012 Jun)
イチョウ葉エキスの副作用
イチョウ葉エキスのサプリメントは、摂取の仕方や、個人の体質によっては副作用を引き起こすことがわかっています。
また、そのほかの副作用としては「胃のむかつき、頭痛、動悸、吐き気」などの報告があります。
自然のイチョウ葉には、アレルギー物質である「ギンコール酸」が含まれているため、一部の方にとっては「皮膚炎」や「腹痛」などのアレルギー症状を引き起こす場合もあるようです。
したがって、イチョウの葉は野外でも採取することもできますが、摂取した葉を煎じて飲むというのは大変危険ですので、注意しましょう。
日本で販売されているサプリメントは、ギンコ―ル酸の濃度を「5PPM」以下にするよう決められていますので、健康の為に摂取する方は、サプリメントなどがおすすめです。
また、適量を摂取することでほとんどの方にとって副作用の心配はないと言われています。
一日の目安量は「120~240mg」とされています。
ただし、出血を増加させる作用があることから、人によっては1日120mgの摂取においても脳出血がいくつか報告されています。その為、手術を予定されている方などは、使用前に一度医師に相談しましょう。
薬との併用によって副作用が起きることもある
日本では細かな規定がありませんが、摂取の仕方によっては、薬との併用によって副作用の可能性もあると考えられています。
例えば、「ワーファリン」や「バイアスピリン」といった血液の固まりにくくする作用のある薬との併用は、出血を増加させる可能性があると言われています。
イチョウ葉エキスの摂取を考えている方で、服用中の薬がある方は、必ず医師や薬剤師に飲み合わせについて確認してから使用しましょう。
また、「ニンニク、高麗人参、生姜」などの出血を促す作用のある食品やサプリメントと組み合わせることも、控えたほうがいいでしょう。