TOP » クラチャイダム

クラチャイダム Kaempferia parviflora

別名黒ショウガ、ブラックジンジャー、黒ウコン

クラチャイダムは、黒ショウガ、ブラックジンジャー、黒ウコンなどとも呼ばれるタイ原産のショウガ科バンウコン属の植物です。
原産国のタイではクラチャイダム(Kra-chai-dam)、英語ではブラックジンジャー(black ginger)などと呼ばれており、その呼び方のとおり、根茎の断面が黒紫色をしている非常にショウガに似た植物です。

クラチャイダムは現地のタイで伝統的に生薬として用いられ、特にアーユルヴェーダ(世界三大伝統医療のひとつ。その研究は病気の治療や予防のみに留まらず、健康の維持や増進、若返りにも及びます)では若返りの薬として位置づけられています。

クラチャイダムはショウガなどと違い非常に苦みが強く、そのまま食すことは難しいため、現地では酒や砂糖、ハチミツなどで漬けてリキュールにしたり、お茶にして飲まれることが多いようです。
学名ではKaemperia parviflora(ケンプフェリア・パルヴィフローラ)といい、ショウガ科バンウコン属にあたる植物です。
タイやラオスなどの亜熱帯地域で栽培されており、寒さに弱く暑さに強い植物です。

日本では、近年、マカに代わる新たな男性向けの健康食品として紹介され、広く知られるようになりました。一般には黒ショウガなどで知られ、女性向けのダイエット食品としても注目されつつあります。

クラチャイダムの効果・効能

栄養食品として知られるクラチャイダム。サプリメントの原料としても有名になりつつある健康食材ですが、どんな効果や効能があるのでしょうか。

現在、明らかになっている効果効能には、以下のようなものがあげられます。

体力の衰え回復

年を重ねるにつれ、人の体は徐々に衰えていきます。いつの間にか疲れやすくなった、昔はもっと体力があった気がする……三十代、四十代となるにつれ、その症状は顕著になっていきます。

加齢によって体力が衰える原因としては、主に3つの理由が挙げられます。

  • 血糖値が高い
  • 細胞の酸化
  • 不摂生による栄養バランスの乱れ

クラチャイダムは血糖値の上昇を抑え、糖尿病を改善する

糖尿病の代表的な症状として、血管が細くなることでの血流の悪化が挙げられます。
全身にうまく血が行き渡らなくなると、肉体の維持に必要な栄養素を全身に届けることができず、身体の異常や神経障害などを引き起こす可能性があります。
また、成人男性がかかる勃起不全障害(ED)も、高血糖が原因であることがほとんどだと言われています。

アメリカで行われた実験によると、クラチャイダムには血糖値の上昇をゆるやかにする効果があることが明らかになっています。※1

このエビデンスによれば、クラチャイダムから抽出された成分が、抗変異原性(細胞に変異を起こさせる物質)とα-グルコシダーゼ阻害効果を示したことが確認されています。

α-グルコシダーゼ阻害効果とは、糖尿病治療にも用いられる糖の分解・吸収を抑制する作用のことです。お米やパンなどに含まれている炭水化物は、食事後に小腸内で糖に分解、吸収されます。この小腸内で炭水化物を糖にまで分解するのが、消化酵素であるα-グルコシダーゼです。このα-グルコシダーゼの働きを妨げる(阻害する)ことで、炭水化物が糖へと分解され、吸収されることを防ぎ、血糖値の上昇を抑制します。

もともとショウガには6-ジンゲロールという血糖値を抑制する成分がありますが、ジンゲロールによる血糖値の抑制作用は極めて緩やかです。
しかし、クラチャイダムではメトキシ基によってフラボノイドの血糖値抑制効果が増強されていることが実験で明らかになっており、この作用はジンゲロールよりも高い値を示しました。

これほど強力かつ明確な血糖値への抑制効果を持つのは、ショウガ科の中でもクラチャイダムのみであると考えられています。

クラチャイダムは極めて高い抗酸化作用を持つ

クラチャイダムは高い抗酸化作用を持ち、活性酸素を減少させ、生活習慣病を予防する効果が確認されています。

人の体は常に酸素を必要とします。肺から血液中に取り込まれた酸素は、全身の細胞に送られ、細胞内のミトコンドリアによる酸化反応によって人の体を動かす様々なエネルギーを作り出しています。
しかし、体に取り入れられた酸素が、常にミトコンドリアで正常に使われているかと言われるとそうではありません。
酸素というのは極めて化学反応を起こしやすい物質であるため、様々な物質と化学反応を起こし、時に極めて反応性の高い(より化学反応を起こしやすい)物質へと変化することがあります。

これが「活性酸素」と呼ばれるものであり、この活性酸素は細胞を酸化させ、DNAを損傷させてしまいます。
このDNAの損傷が、動脈硬化やガン、様々な生活習慣病の原因となることがあります。

活性酸素が増えると、特に酸素を取り入れやすい肺や、筋肉などはダメージを受けやすく、すぐ疲れてしまうというような症状に陥る可能性があります。
また、喫煙、飲酒、不摂生、肥満、睡眠不足、ストレスなどの生活習慣が原因で、体内の活性酸素が増加し、老化が早まることがあります。

そんな中で注目されているのが「抗酸化物質」です。
クラチャイダムには10~12種類のフラボノイド成分が含まれていて、このフラボノイドが高い抗酸化作用を示すことが研究で明らかになっています。※2

この論文によると、クラチャイダムに含まれるポリメトキシフラボノイドをはじめとしたフラボノイド類が特に高い抗酸化作用を持ち、活性酸素の除去に効果があることが確認されています。
また、クラチャイダムは骨粗しょう症にも効果があることが明らかになつつあります。

クラチャイダムは極めて豊富な栄養素を含む

クラチャイダムには、非常に豊富なアミノ酸や、カリウムやマグネシウムをはじめとした豊富なミネラル、多種のフラボノイドが含まれています。

毎日の仕事が忙しい、料理が苦手、時間がない……。健康的な生活を送るというのは、言うのは簡単なものの実行するのはなかなか難しいものです。
不摂生な生活を続けていると、気がつかないうちに体に負担をかけてしまっているかもしれません。

クラチャイダムは非常に豊富な栄養素を含み、栄養補給のための健康食品としても注目が集まっています。

アミノ酸含有量
アスパラギン酸 1,320mg
アルギニン 1,480mg
イソロイシン 380mg
グリシン 530mg
グルタミン酸 950mg
セリン 370mg
チロシン 470mg
トレオニン 380mg
バリン 430mg
フェニルアラニン 320mg
メチオニン 180mg
リジン 360mg
ロイシン 690mg

※図表のうち、赤字は必須/準必須アミノ酸

ED(勃起不全)の回復

クラチャイダムにはED(勃起不全)にも効果があります。

民族薬理学ジャーナルに掲載された論文によれば、クラチャイダムにはPDE-5という酵素を阻害する効果が認められ、これがEDを改善させる効果があるとされています。※3

勃起のメカニズムとは、すなわち血流のメカニズムともいえます。ヒトの海綿体に血流が溜まることで膨張し、静脈の働きによって支えられることで勃起は成立しますが、EDとは海綿体に血流が流れ込まない、あるいはうまく調節されない状態のことを指します。

体内で勃起時の血流調整を担う物質として、二次情報伝達物質(セカンドメッセンジャー)と呼ばれるものがあります。
代表的なセカンドメッセンジャーとしては、環状グアノシン一リン酸(cGMP、サイクリックGMP)や環状アデノシン一リン酸(cAMP、サイクリックAMP)が挙げられ、これらのセカンドメッセンジャーは血管に働きかけ、血流を調整する機能を持ちます。

勃起の機序において、セカンドメッセンジャーはこれをコントロールする役割を担い、cGMPが働くことで勃起が起こり、抑制されることで勃起が収まります。
このcGMPを抑制し、勃起状態を収める働きを持つのが「PDE-5」です。

実験によって、クラチャイダムに含まれる7-ジメトキシフラボンがPDE-5の働きを阻害し、cGMPを活発化させる働きが確認されました。
cGMPが活発化することで、勃起が正常に行われるようになり、EDが徐々に改善していく効果があると考えられます。

ダイエット効果


クラチャイダムのダイエット効果(抗肥満効果)は広く知られています。

以前から、マウスをモデルとした実験で抗肥満効果が確認されていたクラチャイダムでしたが、その機序については長らく解明されていませんでした。

しかし2014年に、東洋新薬と筑波・武蔵野両大学が共同で行った実験において、クラチャイダムが脂肪細胞に対してどのように働くかが明らかになりました。※4

このエビデンスによると、高脂肪食とクラチャイダムを摂取させたマウスと、高脂肪食のみを与えたマウスを比較したところ、クラチャイダムを摂取したマウスのほうに明らかな脂肪の減少が見られました。
かつ食事量の変化や体調の変化(嘔吐)などは見られず、クラチャイダムの摂取によるものだと結論づけています。

もともとショウガには太りづらくなる作用(抗肥満作用)があると言われており、これは膵リパーゼを阻害する効果によるものだと考えられています。
膵リパーゼは食事から摂取した脂質を消化・分解して吸収させる役割を持ちます。
クラチャイダムはショウガと同じく、膵リパーゼの働きを阻害し、脂質の消化と吸収を抑える効果があると考えられています。

しかし、ショウガと大きく異なるダイエット効果として、クラチャイダムは褐色脂肪細胞を活性化させ、カロリー消費を増大させる機能があるということです。
クラチャイダムの摂取がノルアドレナリンの分泌を促進し、脂肪細胞内の環状アデノシン一リン酸(cAMP)を増加させ、カロリーを熱に変える機能を促進します。
褐色脂肪細胞はエネルギー(カロリー)を熱へと変える役割を持ち、「ダイエット細胞」ともいわれ注目されている細胞です。
クラチャイダムを摂取することで、褐色脂肪細胞を活性化させ、カロリーを消費させる効果を得られると考えられています。

クラチャイダムの抗肥満作用が実験によって確認されていることから、海外では精力目的よりもダイエット目的で摂取する人が多く、近年ではそのブームに火がつきつつあるようです。

ただしクラチャイダムはその抽出方法や含有量によって効果が表れないことがあるため注意が必要です。

本研究では、0.5%のクラチャイダム抽出物は、7週間の投与はBATのUCP1発現レベルに影響を及ぼさないことを見出したが、1.0%のクラチャイダム抽出物はこれらのレベルを有意に増加させた。

参考文献:Food Science & Nutrition Volume 2, Issue 6,

クラチャイダムによる効果は、摂取量がある値を超えることで、はじめて効果が表れるのではないかと考えられています。
そのため、クラチャイダムのこうした効果を得るためには、含有量の高いものや、良質な精製方法を用いたものを摂取するべきでしょう。

参考文献

  • ※1Food Chemistry. Volume 125, Issue 2, 15 March 2011, Pages 471-475.
  • ※2Anti-osteoporotic and Antioxidant Activities by Rhizomes of Kaempferia parviflora Wall. ex Baker
  • ※3Journal of EthnopharmacologyVolume 137, Issue 3, 11 October 2011, Pages 1437-1441
  • ※4Kaempferia parviflora(“黒ショウガ”)の機能性に関する研究

クラチャイダムの副作用

主にサプリメントの原料として、日本でも広まりつつある健康食材、クラチャイダム。
非常に効果・効能の高い食材であるクラチャイダムですが、その反面、副作用はないのかと心配になってしまうものです。

では、クラチャイダムの副作用としてはどのようなものが報告されているのでしょうか?

1.原則、副作用の心配はない

クラチャイダムは古くからタイで健康食材として使われてきた歴史があり、現在に至るまで、健康被害などは報告されていません。

健康食材であればすなわち副作用はない、と考えるのは短絡的と言えるでしょうが、実験においても、大量に摂取した場合でなければ、副作用と言えるものは見られないようです。

2.体温の上昇と発汗作用

クラチャイダムの副作用のひとつとして、体温の上昇と発汗作用が認められています。

これは、クラチャイダムが褐色脂肪細胞に働きかけ、カロリーの燃焼を促すためであり、脂肪の燃焼が体温の上昇、そして発汗につながります。

このため、特に妊婦の方や、風邪などの症状を患っている場合はやや摂取に注意する必要があります。

3.大量に摂取した場合、血圧の低下を招く

クラチャイダムを大量に摂取した場合、血圧が低下する可能性があります。

クラチャイダムには血管を拡張し、血流を改善する効果が認められています。しかし血管が拡張すると血圧が下がります。

特に低血圧の人が大量かつ習慣的に摂取すると、めまいや立ち眩みが起きやすくなる可能性があります。また、血圧降下剤(高血圧治療薬)を飲んでいる場合も、同様の副作用が起きる可能性があります。

飲みすぎに注意。どれぐらい飲めば過剰摂取になる?

では、クラチャイダムが過剰摂取になってしまうのはどの程度の量からなのでしょうか?

実験によると、体重1キログラムに対して100~50ミリグラムのクラチャイダムを与えると、副作用のリスクが上昇したとあります。
成人男性の平均体重は約60kgですから、60x50=3000mg(日)程度が、副作用が起きる可能性のある使用量だと考えるべきでしょう。

一般的に食習慣や個人差などを考慮に入れると、安全に摂取できる量は1日約1500mg(月45000mg)までと考えるべきです。

クラチャイダムの純正パウダー商品なども販売されていますが、これらの製品は副作用を起こしてしまう可能性があるため、摂取される際には必ず量を測り、適切な範囲で使用してください。

最近更新された成分の記事