マスティックとは、ギリシャのヒオス島のみに自生するウルシ科の灌木(かんぼく)の幹や枝から得た分泌物のことを指します。日本では、「洋乳香(ようにゅこう)」と訳されており、歯周病や虫歯、口臭の予防対策として注目されている素材です。
10世紀以降に、ヒオス島を訪れた旅行者によって発見され、ヒオス島はマスティックを生産できる場所として知られるようになりました。
マスティックはヒオス島以外でも摂れますが、その樹液が吹き出すようにしたたり落ちるのは、ヒオス島だけだと言われています。また、時間が立つと樹液は黄色い塊になり、その形が涙に似ていることから「キリストの涙」と呼ばれることもあります。
ギリシャでは古くから、マスティックを口の中で噛んでいると歯周病が予防できるとされていました。
通常の殺菌剤では、悪玉菌だけでなく善玉菌も駆除してしまうため、口内の菌のバランスが崩れ、悪玉菌を増やしてしまうことがあります。しかし、マスティックは善玉菌を残し、悪玉菌だけに作用するため、安心して使用できると考えられているのです。
マスティックの効果・効能
ギリシャでは古くから、食後にマスティックを噛む習慣があり、口臭予防に効果があることで広く知られていました。
また、口内だけでなく、胃腸にも働きかけることから、病気の予防・改善の為に使用されることがあります。
マスティックの効果・効能は以下の通りです。
- 虫歯・歯周病予防
- ピロリ菌の抑制
- 胃痛、胃腸障害の改善
虫歯、歯周病予防
マスティックは強い抗菌作用を持っていることから、特に口腔内の悪玉菌を排除するのに効果的だと言われています。
これにより、虫歯菌の除去や、歯周病の予防にも働きかけます。
また、マスティックの大きな特徴は、悪玉菌にのみ働きかけるということです。
通常の殺菌剤であれば、口腔内の菌を排除しようとすると、悪玉菌だけでなく善玉菌も排除してしまいます。そして、最終的にはまた悪玉菌が優位な状態に戻ってしまうということが起こりがちです。
しかし、マスティックは口腔内の善玉菌を殺すことがないため、口腔内をよりいい効果を与えることができると考えられているのです。
歯周病は口臭や、歯茎の出血・腫れの原因となるほか、糖尿病や心筋梗塞、動脈硬化など全身への悪影響を引き起こします。
そのため、マスティックの抗菌作用は様々な病気の改善に期待されています。
ピロリ菌の抑制
マスティックは胃がんの原因となる「ピロリ菌」に対しての細菌作用もあることから、ピロリ菌を抑制・除去する成分として広く知られています。
そのきっかけは、1998年、英国のバーネット総合病院とノッティンガム大学病院の研究グループが、ピロリ菌の除去作用があることを発表したことにありました。
現代の日本人では、50歳以上の約80%がピロリ菌に感染していると言われています。
胃炎や胃潰瘍の患者さんで再発を繰り返す方は、ピロリ菌に感染していることが多くみられるようです。
胃痛・胃腸障害の予防
上記のことから、マスティックの抗菌・殺菌作用は胃痛・胃腸障害にも効果的だと考えられています。
1984年のイラクの臨床試験では、十二指腸潰瘍が改善されたという報告があります。
38名の患者に対し、1日2000mgのマスティックを2週間与えたところ、患者の80%の症状が軽減し、70%は十二指腸潰瘍が治癒したというものです。
マスカティック患者16例(80%)、プラセボ患者9例(50%)、内視鏡検査で治癒が確認されたのはマスチック患者14例(70%)、プラセボ患者4例(22%)であった。治療間の差は非常に有意であった(P <0.01)。マスチックは十分に耐容され、副作用を生じなかった。参考文献:二重盲腸の治療における二重盲検の臨床的および臨床的矯正臨床試験
なお、現在でも「胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の鎮痛、胃ガンの予防・治療」など、多くの疾患に対して使用されています。
また、体調不良によって胃が痛む時だけでなく、ストレスや緊張を感じて胃が痛む時にも効果的だと言われています。
日常生活でそのような症状が表れる方は、マスティックのサプリメントなどを使用するのもいいでしょう。
マスティックの副作用
マスティックは古くから植物療法として使用されてきた歴史もあり、現在に至るまで副作用の報告はされていません。
ですが、植物成分であるため、「花粉過敏症」の方は摂取を控えるか、少量から試すことをお勧めします。マスティックに対するアレルギー反応を起こすことも考えられます。
また、サプリメントなどで摂取する際には必ず記載されている量を守ること大切です。
体質にあわない場合や、過剰摂取した際に考えられている副作用としては、
「消化不良、頭痛、吐き気、胃痛、下痢」などがあります。
マスティックの摂取量の目安とは?
マスティックは加工食品の原料として使われている為、日本では特に摂取量が定められていません。
ですが海外では、サプリメントで摂取する際「1日当たり1000mg~2000mg」を目安量としており、この量であれば、大きな副作用の問題はないと言われています。
摂取する際には少量で開始し、時間の経過とともに用量を増やすことによって、副作用のリスクを軽減することができるでしょう。また、異常な副作用を感じた時には、使用をやめて医師に相談することをお勧めします。
なお、妊娠中の方や、授乳中の方に対しての信頼できる研究は現在まで発表されていない為、摂取を控えることが賢明だとされています。